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貸付不動産の相続税評価、令和8年から見直しへ

相続税対策として貸付用不動産の購入を検討される方は要注意です

これまで貸付用不動産については、「貸家建付地」や「貸家」の評価減によって、市場価格より大幅に低い評価額となるケースが多く見られました。特に、相続直前に駆け込みで不動産を取得・賃貸に出す「節税対策」が課題となっており、公平性の観点から見直しの声が高まっていました。



主な改正ポイント




  1. 取得後5年以内の貸付不動産は原則として通常の取引価格で評価

    相続開始前5年以内に取得した貸付不動産については、相続税評価額ではなく、課税時期における通常の取引価格(いわゆる時価)を基準に評価する方向となります。


  2. 不動産特定共同事業や信託受益権による取得にも適用

    信託受益権や特定共同事業契約によって取得した貸付不動産も評価見直しの対象となります。


  3. 賃貸割合が高い物件は一部例外あり

    被相続人の相続開始時において、土地の大部分を賃貸していたようなケースは、従前通りの評価(80%相当)で認められる可能性があります。



適用時期



この新たな評価ルールは、令和9年1月1日以後に相続等で取得した財産に対して適用されます。つまり、令和9年以降の相続については、駆け込み取得・賃貸による節税が難しくなる見通しです。



影響と対応のポイント



今回の見直しにより、短期的な節税目的で貸付不動産を取得するスキームの効果が薄れることになります。不動産を活用した相続対策を検討している方は、以下の点に注意が必要です:




  • 取得から5年以上保有する前提で計画する

  • 相続時点で実際に賃貸されているか(貸付実態)を確認する

  • 評価時に不動産の時価が高騰していれば、相続税額が増加するリスクがある



まとめ



貸付不動産の評価ルール見直しは、これまで「不動産で節税」を行ってきた富裕層にとって大きな影響を与える改正です。特に、相続直前の不動産取得については評価額が大幅に引き上がる可能性があり、従来の節税スキームが通用しなくなることも想定されます。