TIPS 税務調査のポイント

税務署は「すべてお見通し」と
認識しておくこと

日本では1年間に約10万件以上、相続税の申告書が提出されています。
そして、そのうち約1万件以上、つまり約1割が税務調査の対象になっています。
さらにその1割の中のうち約85%が修正申告として追徴課税を納付しているのが現状です(修正申告分の約50%は預貯金、有価証券などの金融資産です)。

税務署は亡くなった方の金融資産をある程度把握しているため、申告書に漏れがあったり、申告した金額が少なかったりすると税務調査の必要ありと判断します。
脱税は論外ですが、確認不足により追徴課税となってしまっては目もあてられません。そうなってしまわないように、こちらでは税務調査において気をつけておきたいポイントをご紹介します。

  • Point.01 生前の引出現金を
    確実に計上する

    亡くなられた方の銀行口座は凍結されます。そのため、生前のうちに葬儀費用として普通預金から引き出しておくことは多くあります。この引き出した現金は、たとえ葬儀費用として使っていても亡くなられた日に現金として残っていれば、相続財産に含めなければなりません。

    また、葬儀費用として引き出していなくても、生前に預金から現金を引き出して、いわゆるタンス預金として保管していいたとしても税務署はお見通しです。
    つまりこのタンス預金に気がつかずに申告してしまうと税務調査の対象になり、修正申告が必要です。さらに、意図的に隠しているとみなされた場合は重加算税が課せられます。
    そのため、まずはタンス預金を含めて生前に引き出した現金があるかどうかを確認し、ある場合は相続財産としてしっかり計上しましょう。

  • Point.02 亡くなる3年前の生前贈与は
    相続財産に含める

    相続税対策として、生前贈与を活用する方もいらっしゃいます。
    贈与契約が締結されており、基礎控除の110万円以下の贈与であれば贈与税の申告書の提出は不要です。しかし、亡くなる前3年以内に贈与された財産については相続税の対象に含めなければなりません。贈与税は無税だから関係ないと安心してはいけません。
    そしてもちろん、この贈与についても税務署は金融機関の預金の動きから把握することができます。
    加えて税務調査の対象となった場合、この預金の動きの確認は相続人の許可なく行われることがあります。「個人情報なのに?」と思われる方も多いのですが、これは税務署が財産状況を正確に把握するために職権として調査権を持っているからです。

  • Point.03 名義預金に注意する

    専業主婦が夫から生活費をもらい、それを妻自身の口座に入金している。いわゆる「へそくり」についても注意が必要です。
    この「へそくり」は夫の相続財産に含まれ、相続税の対象になります。妻の立場からすると、「専業主婦として家を守っていることの対価としてお金をもらっているのに、夫の財産になるのは納得がいかない」。そんな声が聞こえます。
    しかし、妻の預金を構築している原資が夫の預金であるならば、いくら妻名義の預金であっても実質的に夫の財産であるというのが相続税の考え方です。妻側からすれば損をした気分になりますが、配偶者控除として1億6,000万円までは妻が取得しても相続税は無税です。
    「へそくり」という名義預金は財産として計上しつつ、妻が取得して配偶者控除の適用を受ければ税務上の問題はありません。

  • Point.04 亡くなる直前のリフォームは
    財産計上する必要がある

    亡くなる直前に、古い家屋をバリアフリーに対応させる改築工事を行うことがあります。
    このときにどうせ改築するなら「新築レベルにまで」と考えて1,000万円超の予算をかけてリフォームすると、家屋の価値が上がります。
    家屋の価値が上がるとは固定資産税も上がるということであり、相続税はその上がった固定資産税の評価額で計上しなければなりません。
    リフォーム前の固定資産税評価額で計上してしまうと、税務調査の対象になる可能性があるので注意が必要です。

  • Point.05 住宅資金の贈与
    【相続時精算課税】を忘れない

    子が家を建てるときに親から資金援助してもらうケースがあります。
    このときに、贈与税が非課税になるという特例を使う方は多いです。ただし、注意しなければならないのは「相続時精算課税」という特例を使っている場合です。
    住宅資金を贈与したときは無税であっても、その贈与した金額は相続税の申告時に含めて納税額を計算しなければならないのです。
    「相続時精算課税」を適用したときは、税務署にその届出書を提出します。そして、税務署は相続が発生するまで何十年もその届出書を保存しています。
    そのため、うっかり相続税の申告書に入れ忘れていると、必ず税務署から修正申告の請求が来ますのでご注意ください。